名誉棄損で損害賠償!? 東京福祉大学争議・・・その後

 交通ユニオン及び組合員・田嶋氏(東京福祉大学教授)は2016年3月1日、東京福祉大学元総長である中島恒雄氏より名誉棄損による損害賠償請求訴訟を起こされた。
  発端は、東京福祉大学伊勢崎キャンパス(群馬県伊勢崎市)において教授への嫌がらせ・人権侵害が行われており、被害を受けていた田嶋教授は2015年度の雇用契約について、以前よりも切り下げられていることに納得できず、大学を相手取って労働条件確認裁判を起こすとともに、ユニオンに加入したことから始まる。
  この間ユニオンとして、裁判を支援しながら大学との団体交渉や文部科学省への指導要請、大学門前での抗議行動を展開してきた。そうした中で大学側より労働条件について和解 
 案が提示され、内容に修正を加えて2016年3月29日、東京地裁において和解が成立した。
  この和解を受けて、並行して田嶋氏が提訴していた名誉棄損による損賠賠償請求訴訟は取り下げた。
  大学側は和解内容に従いこの一連の争議に関して、大学のホームページや教授会・全体ミーティングの場で一応は「遺憾の意」を表明しているが、経過の説明がされておらず、全体ミーティング等で本人が補足説明することを拒否したため形式的な謝罪にしかなっていない。
  そもそも東京福祉大学と田嶋氏との争議は、女性教職員に対するワイセツ行為で中島恒雄総長(当時)が実刑判決を受けるという教育者にあるまじき罪を犯しながら、出所後に大学 に復帰した中島氏からの理不尽な指示に従わなかった田嶋氏を排除するために、田嶋氏が「学生・院生にパワハラ・セクハラを行った」として解雇したこと、そして大学側が田嶋氏解雇撤回裁判で敗訴したにもかかわらず、職場復帰した田嶋氏の労働条件や処遇を切り下げたことに起因している。
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  上記和解を受けて、労働条件や処遇は改善されているが、専制的な大学運営は続いておりその背景に中島氏の存在も大きく影響しているのではないか。
 
田嶋組合員・交通ユニオンに対する報復的訴訟を糾弾する!!

 この和解成立前の2016年3月1日、東京福祉大学の元総長・中島恒雄氏は、ユニオン及び組合員・田嶋氏に対して名誉棄損を理由に5500万円の損害賠償請求訴訟を起こした。訴状が田嶋組合員及びユニオンに届いたのは4月5日、まさに3月29日の和解直後でありもっと早く知らせれていれば、大学側との和解も成立したかどうか・・・。
 訴状によれば田嶋組合員及び交通ユニオンは、田嶋氏のホームページにおいて「組合活動の一環」として中島恒雄氏の過去のワイセツ事件を記載したビラを掲載し、東京福祉大学でいまだに中島恒雄氏の裏支配が継続しているなど、事実に反する内容を記載するとともに、誤った認識によって訴訟を起こした。また、中島恒雄氏の過去の犯罪歴を公にしたことは、中島恒雄氏の社会的名誉を低下させ、更生を阻むもの・・・としている。
 しかし、中島恒雄氏が真に更生しているのかどうか極めて疑わしく、一連の争議に対する威圧としか受け取れない。大学側代理人によれば、この訴訟には「大学は一切関与していない」とのことだが、交通ユニオンとして、この損害賠償請求に断固として抗議し糾弾する。


東京福祉大学は団体交渉に応じろ!!労働委員会に不当労働行為救済を申し立て

 一方、2016年3月29日に和解した労働条件確認裁判の和解条項の中に、雇用契約案も盛り込まれており、裁判の和解を受けて同年4月20日、大学側との間でようやく今年度の雇用契約が成立し、秋学期から田嶋氏が担当する授業計画も確定していたが、大学側が一向に計画を策定しないためユニオンとして団体交渉の開催を求めた。
 しかし、大学側は「田嶋氏のホームページに過去の裁判内容等が記載されているのは和解条項に反するから交渉は延期する」との回答を行った。ユニオンは再度交渉の開催求めたが大学側の姿勢は変わらず、いっさい交渉に応じようとしていない。大学側の対応は「延期」という表現を使いながらも事実上の団体交渉拒否の不当労働行為であるとして同年10月6日、群馬県労働委員会に不当労働行為救済の申し立てを行った。
 同じく10月6日、大学側は田嶋氏に対して秋学期の授業は一切持たせないとの通告をしてきた。交渉に応じないのと同じく田嶋氏のホームページの内容を理由としているが、組合活動の一環として行っている田嶋氏のホームページの内容について、それを理由に授業を持たせないのは組合活動を行っていることへの不利益扱いであり断じて認められない。
 ユニオンは10月12日付で抗議文を大学側に送り、不利益扱いに対する抗議の意思を表明するとともに、雇用契約に基づき授業を持たせること、すみやかに団体交渉に応じることを求めた。

「一切の授業を持たせない!」大学から不当な通告

 2016年10月7日から秋学期の授業が始まるという10月6日の正午頃になって、田嶋氏は手島心理学部長と鶴心理学研究科長に呼ばれて、「明日からの授業はやってもらえなくなった」と手島心理学部長から告げられた。「理由は何ですか?」と尋ねても「わからない。伊藤事務局長にそう言われたのです」とのことで、秋学期の授業については、すでに数週間前から具体的な授業計画を、日程や具体的な分担、使う教科書に至るまで、手島心理学部長及び鶴心理学研究科長とともに立てていたにもかかわらず、いきなり「やってもらえなくなった」と言われたのである。
 この対応は田嶋氏と大学の間での2016年3月29日の合意に基づく平成28年4月20日付の雇用契約書に違反している。この雇用契約書では、「平成28年度秋学期から本人が受け持つ授業数を週4コマとする」とされているのである。 伊藤事務局長に電話で理由を尋ねたところ、「(田嶋が)ホームページに裁判の記事を載せているからです」と言われた。背景には元総長の指示があるとしか思えない。
 こうした大学側の対応に対してユニオンは11月15日、伊勢崎キャンパスにおいて抗議行動を取り組み、横断幕やメッセージボードでユニオンの訴えをアピールするとともに、大学に通う学生や近隣にチラシを配り東京福祉大学の実情を
訴えた。
 この行動に対して大学側は一般職員が行動の中止を通告するとともに行動への監視を行った。「上」からの指示でそうした対応を取らざるを得ない彼らは、私たちがどうして抗議行動を行っているか、その理由も知らないまま対応している。私たちは彼らがユニオンに加入し、大学の民主化や雇用の安定のためにともに起ちあがることを望んでいる。

新たな不当労働行為!!東京福祉大学は組合員への差別をやめろ!!

 東京福祉大学は、2017年3月に実施された2016年度卒業式及び全教員対象の研修会、そして同年4月7日に開催された2017年度入学式について、その事務連絡を田嶋組合員ほか1名に対して通知しないという、不当労働行為を行っていたことが明らかになった。
ユニオンからの口頭抗議に対して大学側(伊藤事務局長=当時)は、「手違いである」旨の回答を行っていたが、その後も何の連絡もなされなかった。並行して文書による抗議に対して大学側は「組合敵視しているというようなことはなく、こうした手違いがあったことは誠に遺憾」などと白々しい回答をしてきたが、教育機関としてあるまじき明らかな不当労働行為であり、断じて許されるものではない。

群馬県労働委員会が東京福祉大学の不当労働行為を認定!!

 大学側がユニオンからの団体交渉開催の申し入れを拒否し続けていた件で群馬県労働委員会は2017年4月7日、大学側の主張を退け不当労働行為を認め「団体交渉を拒否してはならない」との救済命令を下した。
 団体交渉「拒否」についてユニオンの主張が全面的に認められた勝利命令である。
 この救済命令を受けて、あらためて大学に団体交渉を申し入れ、5月26日に開催されたが、交渉の議題であった田嶋組合員に授業計画を持たせないことの是正及び教職員の無期雇用化について、折り合いがつかないまま決裂した。

引き続く組合員への差別!東京福祉大学は職員の声を聞け!

 上記で示したように一方的な理由で授業を持たせない大学の行為に対して田嶋組合員は、大学が設置している「ハラスメント防止・対策専門部会」に状況の改善を求めたが、これについても大学側は無視し続けており、申し立てから半年以上が経過してもなお、解決を行おうとしていない。
 田嶋組合員の退職までいたずらに引き延ばしを図ろうとしていることは明白であり、許されるものではない。

東京福祉大学では教職員の雇用が一年間の有期契約となっており、このような不安定雇用をはじめ様々な労働条件が改善されるよう求めていく。
東京福祉大学で働く皆さん!交通ユニオンに結集し安心して働ける職場づくりを目指しましょう!

東京地裁の不当判決を糾弾する!!

 東京福祉大学元総長・中島恒雄氏による当ユニオン並びに田嶋組合員に対する損害賠償請求訴訟の判決言い渡しが2017年12月15日、東京地裁第530号法廷で行われた。
 結果から言えば被告にされた私たちに対して「88万円を支払え」という、一部であるにしても名誉棄損・プライバシー侵害を認めたものとなっている。
 判決文によれば、中島恒雄氏の刑事事件に関する判決文等をホームページに掲載したことは「原告による大学の運営に対する影響力の行使の不当性を明らかにするためには、前科について言及する必要があった」「原告の大学に対する不当な影響力の行使を排除するという公益目的からすれば、原告は前科を公表されることについて甘受すべき立場にあり」「前科の公表自体がプライバシーを侵害するということはできない」としながらも、「判決文の掲載は必要な範囲を超えるものとして、正当性を認めることはできない」「原告の社会的評価が低下し、精神的苦痛が生じた」としている。
 中島恒雄氏の前科の公表は認めつつも「必要な範囲を超えている」として原告の主張を認めているのである。
 この東京地裁の判断は、労働組合の活動に対して経営者が損害賠償を求めれば、それを認めるという極めて許し難い判決である。スラップ訴訟は労働組合の活動の委縮を狙うものであり許せるものではないが、経営者の主張を受け入れ労働組合の活動を制限させる裁判所の判断も当然許せるものではない。
 判決言い渡しの当日、原告側は中島恒雄氏だけでなく、代理人すらも出席しないという不遜な態度を見せた。私たちは、控訴を前提に弁護団との協議を進めていく。

東京地裁判決に対する声明こちら

控訴審(東京高裁)でも不当判決!

 東京地裁の不当判決に対して、私たちは控訴して闘うことを決定し、12月27日に東京高裁に控訴した。
 控訴審では2度の口頭弁論期日をもって結審し、9月13日に判決が言い渡された。判決内容は中島恒雄氏が主張し、1審判決で認定された名誉棄損については取り消し、プライバシー侵害についてのみ認め、33万円の賠償金支払いを命じるものであった。
判決後の記者会見 名誉棄損について認定しなかったことは評価できるが、プライバシー侵害を認定したことは承服できるものではなく、このような判決を出した東京高裁の判断に対して、抗議の意を表明するとともに、今後も闘いを続けていくことを明らかにするものである。
 正当な労働組合活動に対して、報復と活動の委縮を狙ったスラップ訴訟など、断じて認められるものではない。
 
東京高裁判決に対する声明こちら

 一方、田嶋組合員に対する大学からの人権侵害とも言える不利益扱いについて、大学が設置した「ハラスメント防止・対策専門部会」に告発・相談のメールを送るも、2年近くも放置し何ら対策を行わなかったことと、田嶋組合員に授業をさせなかったことについて、その損害賠償を求めて控訴審判決が出された9月13日、東京地裁に提訴した。
 そして、中島恒雄氏から提訴された損害賠償請求での東京高裁判決には到底承服できるものではなく、11月22日に最高裁に上告し、闘いを継続している。

学生から大きな反響
 2018年10月10日に取り組まれた東京総行動では、中島恒雄元総長によるスラップ訴訟との法廷闘争や大学の運営や授業にに関与し始めている中島恒雄元総長について、黙認している大学の責任を追及して、同大学池袋キャンパス前で行動を取り組んだ。
 前回の行動では「研修会」の名の下に教員を伊勢崎キャンパスに集め、授業も行われなかったため宣伝効果はあまり期待できなかった。しかし、今回は通常の講義も行われていたため、多くの学生にチラシを受け取ってもらうことができた。
 その効果は大きく、カリキュラムが勝手に変えられていること等に対する学生の不満・怒りがSNSでも拡がっている模様である。
 交通ユニオンにも関心を示すメールが届いており、この問題に関する関心の高さがうかがえる。
 
 池袋キャンパスでのチラシ配布はSNSを通じて東京福祉大学の学生に拡がり、伊勢崎キャンパスでのチラシ配布を求める声が上がってきたほか「本日も元総長が授業を妨害してきました。部外者は学校の敷地内に入ることができないはずなのになぜ授業を妨害してくるのでしょうか。これから就職をするにあたって、東京福祉大学という名前が不利になるのかと不安な気持ちが大きいです。妨害の内容として、授業の監視及び指導がありました。 田嶋様の処分については本当に強い憤りを感じております。」とのメールも送られてきている。

 私たちはこうした声に対して11月14日、伊勢崎キャンパスでのチラシ配布を取り組んだ。
 また、11月20日に開かれた東京地裁における損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論では、田嶋組合員が意見陳述を行った。そして、傍聴席には東京福祉大学の学生さんの姿も見え、中島恒雄氏の不当な関与とそれを黙認している東京福祉大学の運営に対する関心の高まりがうかがえる。
2019年1月29日に第2回口頭弁論が開かれ、3月12日の第3回からはラウンドテーブルでの協議となったが、傍聴席も用意されいる。次回は5月15日に開かれる予定である。

中島恒雄元総長は弁護団に対する懲戒請求を取下げろ!
 
中島恒雄氏は私たちの弁護団に属する指宿・萩尾両弁護士について、「名誉棄損・プライバシー侵害にお墨付きを与えたのは弁護士としての資質に欠ける」として第二東京弁護士会綱紀委員会に『懲戒請求を申し立てた。
 このことにより両弁護士は、裁判の他に綱紀委員会への対応をせざるを得なくなり、無駄なエネルギーを使わせられることとなる。中島恒雄氏はこのような目論見を持って申し立てを行っていることは明らかである。
 まさにこれは裁判における弁護士活動を妨害する行為であり、断じて許せるものではない。
 このような妨害行為に屈することなく、損害賠償請求訴訟の勝利をめざしていく。

最高裁、不当にも上告を棄却
 最高裁は2019年2月26日、中島恒雄氏によるスラップ訴訟に対する私たちの上告受理申し立て及び上告について棄却する決定を下した(抗議声明はこちら
 最高裁の見識を疑わざるを得ない不当な決定である。
 この決定により、「プライア市―侵害」についての賠償が確定するが、東京地裁で係争中の損害賠償請求訴訟での勝利を目指して全力をあげていきたい。

中島恒雄元総長の大学への関与は?
 東京福祉大学の創設者であり元総長でもある中島恒雄氏は、自らが犯した罪により同大学の運営や授業に関与することを禁じられている。
 しかし、彼は教職員の研修会や卒業式・入学式などの行事に姿を現し、強大な権力をもって実質的に様々な指示を出していると想定される。
 私たちは、様々なルートから情報や証拠を集め、文科省に情報を提供してきた。それらの情報をもとに文科省が東京福祉大学に対する調査を行った結果、中島恒雄氏の関与が明白となり、2018年度の補助金について50%削減が決定された。
数回にわたる文科省の調査に対して東京福祉大学は
「大学の運営や教育に一切関与させず、給与・報酬も与えていない」
「教員研修会のゲストスピーカーとしてお話していただいた」
「教室内で授業を見学し、間接的に教員に対しアドバイスを行ったことが数回あった」
「学生から苦情は一切なく、十分に満足している」「学生や保護者から感謝の声はあるが苦情は一切ない」
「平成28年度以降、個人的に入学式に来場し見学していたと聞いている」
「外国人留学生の在籍管理について、平成29年度の除籍者は493名、そのうち所在確認中としているのは486名で決して1000名以上ではない」
「本学の教育理念を体現できる教育の専門家で優秀な人材には力を貸してもらうことで教育環境が改善できるよう努めたい」
「中島氏は平成32年10月に刑期満了から10年が経過する。教育の現場に復帰できるので、そのときは大学を挙げて、ただちに復帰してもらう。本学にとって大切な宝です」
などの回答書を提出しているが・・・

理事や教職員でもなく、報酬を与えていないからと言って関与していないとは言えない。
また、そのような人物がどういう権限で授業を見学しアドバイスをすることができるのか?
学生や保護者からの苦情は一切ないとしているが、前述したように学生からの「何とかしてほしい」といったメールが届いているし、関心は非常に高い。
入学式等の行事に招待してもいないのに個人的に来場した人物に公用車を使うのはなぜか?
中島恒雄氏を「大切な宝」などとは呆れるほどの認識であり、同氏への忖度が窺われる。
その他、ユニオンが掴んでいる情報によれば大学の回答書は嘘と言いわけ、文科省指導に対して誠実に回答しているものとは到底言えない。

「消えた留学生」問題 
 3月中旬以降、東京福祉大学の外国人留学生が多数、「所在不明」となっていることについて、マスコミ各社からの取材申し込みが殺到し、連日報道が行れている。
また、国会の場においてもこの問題で質問が出されており、こうした事態を受けて文科省・法務省合同による調査が行われようとしている。
報道の通り、この問題は制度の網をくぐって合法的に外国人留学生を受け入れ、結果として不法就労などの温床になっていることは重大な問題である。
私大の定員割れを補うために外国人留学生を受け入れているとの報道もあるが、東京福祉大学では東南アジアや最近ではヨーロッパに出向いて留学生募集の説明会を開催し、中島恒雄氏が創設者として紹介され弁舌をふるっているようである。
「留学」を名目にして日本に出稼ぎにやって来る外国人を相手に、大学が「留学生ビジネス」を行っている実態について、対策はもちろん必要であるが、東京福祉大学の場合はそれらが中島恒雄氏の金儲け主義によるものであると思われる。そうしたことにもメスを入れるべきである。

言論弾圧?
東京福祉大学問題について、某テレビ局からかなり踏み込んだインタビュー取材を田嶋組合員が受けたが、急に放映中止になったとの連絡が入った。「外圧か?」 と尋ねたら否定はせず、「猛抗議をしてくる大学らしいので」とのこと。
多数の留学生が「所在不明」となっている事実はすでに明らかである。このことが事実であれば報道機関にまで圧力をかけて実態を覆い隠そうとする東京福祉大学の体質は異常としか言いようがない。
またしても「名誉棄損」を主張しているのでろうか?
報道機関の方々には、今後もご協力いただくとともに、ぜひ頑張っていただきたい。

大学の主張

 2019年3月20日付で東京福祉大学からマスコミ各社に「コメント」がFAXで送られている。
1.留学生が行方不明になった原因について 2.除籍の手続き等について 3.入試における日本語能力の判定について 4.研究生の合格率について 5.研究生制度のカリキュラムにカリキュラムについて 6.学習環境(銭湯の二階の教室など)について 7.留学生の受け入れ体制の整備等 8.今回の報道について 9.創立者の関与の問題について 10.本学元教授について・・・の10項目にわたって大学側の主張が記載されているが、いずれについても大学の施策・報告内容は正当であり、不備の点については改善している。中島元総長――の大学への関与は一切ない・・・との内容。
とりわけ最後の項目では中島元総長が起こした損害賠償請求訴訟においてプライバシー侵害が確定していることを記載して締めくくっているが、東京福祉大学の問題点を追及すれば必ず中島元総長に突き当り、中島元総長の過去の犯罪歴にも触れざるを得ない。そうした時に損害賠償を請求されるのでは・・・との警戒心を抱かせる意図があるのではないか。
 田嶋組合員が取材を受けた内容が急きょ、放送中止になったのは3月21日、東京福祉大学からFAXが送られたのは3月20日の22時前。時系列的符合は偶然なのだろうか。

東京福祉大学の学生及び保護者の皆さん、教職員の皆さんに訴えます!
 東京福祉大学は性犯罪を犯した創設者を「大切な宝」として、その復帰に当たっては「大学を挙げて復帰してもらう」という異常としか言いようのない姿勢です。文科省への回答で「学生・保護者からの苦情や不満の声はない」などとしていますが、勝手にカリキュラムを変えられたり、授業を妨害されたりすることに不満を持つ人は少なくないはずです。
 東京福祉大学の異常な大学運営を変えていくには皆さんからの声が必要です。
 2019年4月2日にも東京福祉大学の学生さんから組合宛にメールをいただきました。内容は公務員試験優先のカリキュラムに変更されてしまい、国家試験対策をしている学生が公務員を望んでいないのに公務員試験対策をしなけれならない状況で、学生には負担以外の何ものでもないこと。また、教室では男女で席につくように教員から言わるが、「男女で考え方が違うため、様々な意見を持つ人と意見交換をすべき」との理由です。男女で意見が違うというのは何の根拠もない男女差別でありセクハラで、大変遺憾。大学を変えようと声を上げた教員は首を切られ、教員不足から複数のアカデミックアドバイザーをかけ持つこととなり、教員は激務が続いている。こんな状況を一刻も早く変えたい、世間に知ってもらいたい・・・というものです。

経営の責任を教職員に負わせるのは許せません!
 
寄せられた情報では、教職員の夏の一時金が削減されたそうです。
 さらに今、各キャンパスの教職員が雇止めにされたり、自主退職の道を選んでいます。2019年春に外国人研究生の大量失踪や劣悪な教育環境がマスコミで報じられ社会問題化したため、受験生が減少していることや2018年度の国からの補助金が50%削減され、さらに、外国人留学生(研究生)受け入れ後の不適切な対応により2019年度・2020年度の補助金を受けられなくなったため、厳しい経営状況に陥っているためのようですが、経営の責任を教職員に犠牲を押しつけるもので、許せないことです。
 こうした事態を招いた原因を大学経営陣はどのように受け止めているのでしょうか?
責任のいっさいは中島元総長の関与を黙認(?)してきた大学経営陣にあるのであって、決して教職員に責任があるわけではありません。
 
中島元総長が再び教育の場に!?

 強制ワイセツ事件を起こし実刑判決を受けて大学運営に関与することができなかった中島恒雄元総長が2020年11月に再び総長に就任したことが報道されました。
 このことについて大学側は「自然発生的に復職を求める声が上がった」としています。しかし、「解雇」をちらつかせて教職員に「復帰嘆願書」への署名を強要したという情報も寄せられています。
 文科省に対しても以前の聞き取り調査の際、「中島氏の復帰はあり得ない」と回答してきたことと矛盾しており、文科省も経緯の報告を求めている模様です。
 さらに、共産党国会議員に対して「虚偽情報にマスコミ・文科省・国会議員までが騙され、大学と学生・教職員が多大な迷惑をこうむっている」「過去の過ちを認め、真摯に反省してほしい」旨の書面を送りつけました。しかも、中島恒雄氏が起こした弁護士2名に対する懲戒請求の準備書面まで同封するなど、自身の責任など全く感じていないことが明らかです。
 中島氏の復帰したのと時期を同じくして退職した職員もいるとのことです(関連性は不明です)。

弁護士への的はずれな恫喝
 田嶋組合員の裁判を担当していただいている指宿弁護士が、2020年12月25日に行われた萩生田文部科学大臣の記者会見の中で、中島恒雄氏が東京福祉大学の総長に就任したことについて述べている様子をSNSに投稿したところ、2021年2月8日付「学校法人茶屋四朗次郎記念学園 理事長 中島恒雄」名による「ツイートに対する抗議」と題した抗議文が届きました。
 「同弁護士の行為は学校法人に対する名誉棄損及び業務妨害に該当する違法な行為であり、ただちに削除を求める。削除されなければ弁護士会への懲戒請求及び法的措置をとる」というもので、さらにはこうした行為は「一代理人としての職分を逸脱し、当法人の経営判断に介入する意図があることが明白であり、そのような越権行為を厳に慎むよう」と記されています。
 テレビ等のニュースでも放送された大臣の記者会見をSNSに投稿したことがなぜ名誉棄損や業務妨害になるのか、まったく的はずれな認識です。
 そもそも東京福祉大学は文部科学省に対して「中島恒雄氏の復帰はあり得ない」旨を回答している。それを反故にしたことについて、大学はどのような説明をしているのでしょうか。
 文部科学大臣は記者会見の中で「過去に実刑判決を受けた創立者が、理事長・学長に就任したことにちょっと驚いている」「罪を償った後においても創立者の復帰を認めないとする、法人自らが作った改善計画の遵守を一貫して求めてきた」「法人として過去に犯罪を犯した理事長を、今後どうしていくのか、自らがルールを作ったはずなので、世の中と約束したことと正しいのかどうか確認してみたい」などと述べていますが、ルールに反したことをしておきながら、テレビで放送された上にSNS上でも流されたことが余程腹立たしかったのでしょうか。
 自分の言動が社会問題となり、その結果として東京福祉大学の評価を下げているのです。

 
 大学の専制的職場支配に不満を持ちつつも報復を恐れて声を上げられない教職員の方々も多いと思います。一年間の雇用契約で更新を繰り返す雇用形態では、まさに「雇用」を人質にとられているようなものです。
 安心して教鞭をとれるように変えていくためには、労働組合の力が必要です。私たちは教職員の皆さんの結集をお待ちしていますし、そのための協力もしていきたいと思っています。
 皆さんからの情報をお待ちしています。

損害賠償請求訴訟が大詰め
 以前に争われていた解雇撤回訴訟が和解に至り、職場復帰を果たしたものの「和解条項に違反している」との理由から、秋学期の授業直前になって「授業はさせない」としたこと、それを学内のハラスメント対策専門部会に報告し救済を求めたにもかかわらず1年半以上にわたって放置されたことなどについて争っていた損害賠償請求訴訟が東京地裁で終盤を迎えています。
 2021年9月16日、大学側証人として伊藤事務局長への尋問が行われ、9月30日には原告・田嶋組合員への尋問が行われました。そして、次回の口頭弁論期日(最終意見陳述)を経て結審となる見込みです。
 次回期日は12月23日(木)、東京地裁709号法廷で10時05分より開始されます。

損害賠償請求訴訟で判決 新たな訴訟も
 昨年12月23日の最終意見陳述を経て2022年4月7日、東京地裁は東京福祉大学に対し106万円の賠償金支払いを命ずる判決を言い渡しました。 これは、田嶋組合員が職場復帰してからも授業を担当させなかったこと、差別的な扱いに対して救済を求めた同大学のハラスメント防止・対策部会が長期間にわたって回答せず、実質的に放置されていたことについて債務不履行と認められたものです。判決後、記者会見を開いて報道関係にも私たちの主張を申し述べました。
 私たちは大学がこの判決を真摯に受け止め紛争を解決することを望んでいましたが、大学は4月15日に控訴しました。

控訴審判決、大学の控訴を棄却
 10月24日、東京高裁は東京福祉大学の控訴を棄却しました。
 正当な判決であり、当然のことであると考えます。大学側はこの判決を受けて賠償金を支払うことを表明しました。

 一方、大学側は2022年3月8日付で新たに東京地裁に1100万円の損害賠償請求を提訴しました。2019年に田嶋組合員が行った記者会見での発言や大学前で配布されたチラシにより社会的信用・イメージを損なったというものです。弁護団とも協議のうえ対応することになりますが、大学は一体いつまで紛争を続けるのでしょうか?
 私たちはこの損害賠償請求の取り下げを求めます。

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