ウイルスに汚染されたフィブリノゲン製剤等を使用されてC型肝炎に罹患したいわゆる薬害C型肝炎患者は全国で1万人とも数十万人とも言われています。
 2008年に薬害肝炎冠者救済のための特別措置法が5年間の時限立法で制定されましたが、この特別措置法で救済される患者はカルテなどの証拠を持っている患者だけです。特別措置法成立の際の参議院付帯決議では「カルテのみを証拠とせず、医師や家族の証言も有効とする」とされましたが、法的救済を原則としている法制度の下では、裁判で証拠を提出し薬害であることを証明しなければなりません。
 しかし、カルテの保存期間が5年と定められているため、5年を経過したカルテは廃棄されます。それに加えて、ウイルスに感染してから発症するまでに数十年かかるため、自分が罹患したことを知った時にはカルテは廃棄されていたり、当時の病院が廃院になっていたり、担当医が亡くなっていたりと、患者の殆どは証拠や証言を得られず、この特別措置法で救済された患者は約2000人程度にとどまっているのが現状です。
 
 そんな中で、救済を受けられない患者・遺族が集まり 「カルテがないというだけで救済されないのはおかしい」として2010年6月に『カルテがないC型肝炎訴訟原告団』を結成し同年11月に東京地裁に80名で提訴しました。現在、原告団の会員は約1200名に達し、そのうちの約750名が東京ほか札幌・名古屋・大阪・広島・熊本・鹿児島の各地裁で救済を求めてきました。



各地裁における救済の状況
   
       札 幌   提訴者  51名  和解 5件
       東 京   提訴者 270名  和解32件
       名古屋   提訴者  97名  和解22件
       静 岡   提訴者   1名  和解 1件
       大 阪   提訴者 162名  和解10件
       広 島   提訴者  87名  和解 1件
       熊 本   提訴者  67名  和解 4件
       鹿児島  提訴者  31名  和解 3件

       合 計  提訴者 766名  和解78件


原告団は活動を休止します

 2022年7月19日に東京地裁から判決が出されたことを受け、原告団事務局は●集団訴訟から個別訴訟に移行した●コロナ禍にあって肝炎を患う原告が様々な行動を行うのは感染リスクが高い●政治解決を目指せる政治状況にはない・・・などから、「カルテがないC型肝炎訴訟原告団」として今後の活動については休止することを確認しました。
 原告団結成の発表以来、連日数百件の相談電話をお受けしました。その段階であきらめていただかざるを得ない患者さんも多く、そのような方をお断りするのはまさに断腸の思いでした。また、多くの患者さんやこれまでにお亡くなりになった方々とそのご遺族すべての救済に至らなかったことは痛恨の極みです。

しかし、提訴できた方々のうち、わずか1割と言えども救済されたことは原告団を立ち上げ裁判を起こし、活動してきた成果であることに間違いありません。
 事務局体制は当面残すこととして、控訴された方々の今後の裁判の行方や薬害肝炎に関わる行政に注目していきたいと考えます。

 交通ユニオンはサポートする会として12年間に亘って関わってきましたが、これまでご支援いただいた皆さま、困難な裁判を受けていただいた弁護団の皆さま、私たちの活動にご理解・ご協力いただいた患者やご遺族の皆さまに感謝申し上げます。

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